生物資源科学部 西村浩二准教授と東京大学、岐阜大学、京都大学、九州工業大学、基礎生物学研究所との研究グループは、植物の光受容体フィトクロムの発色団フィトクロモビリンを合成するヘムオキシゲナーゼ1の機能について教科書に記載されていたこれまでの定説を覆す新発見をしました

公開日 2024年06月05日


植物の光を受容する色素は葉緑体の外でも作られる
   ―これまでの教科書の定説を覆す新発見―


◆発表概要
 植物にとって光は光合成におけるエネルギーとしてだけでなく、環境情報を得るシグナルとしても最も重要な環境因子です。光シグナルは光受容体により感知されますが、光受容体の中でも最も重要なはたらきをするのがフィトクロムです。タンパク質を構成するアミノ酸は可視光を吸収できない(透明)ため、タンパク質である光受容体が光を吸収するためには色素が必要であり、これを色素団といいます。フィトクロムの色素団はフィトクロモビリンとよばれ、その合成の第1段階はヘムオキシゲナーゼによるヘムの開裂反応です。
 島根大学生物資源科学部の西村准教授と東京大学大学院総合文化研究科の増田建教授らのグループは、フィトクロモビリンを合成するヘムオキシゲナーゼ1が、葉緑体だけでなく細胞質にも局在して、実際に機能することを明らかにしました。これまでフィトクロモビリンは、葉緑体の中でのみ合成されると考えられ、教科書にも記載されてきましたが、本研究はこれまでの定説を覆す新発見です。
 本研究成果は、2024年5月28日に「Plant Physiology」のオンライン版に掲載されました。
 研究成果の詳細な紹介は、こちらとなります → 研究成果[PDF:615KB]

◆掲載誌情報
【雑誌名】Plant Physiology(オンライン版:5月28日)
【論文名】Cytosolic heme catabolism by alternative localization of heme oxygenase 1 in plant cells
(伟德体育_伟德体育app-在线|平台@語):植物細胞におけるヘムオキシゲナーゼ1の選択的局在化による細胞質ヘム代謝
【著 者】 Yingxi Chen, Kohji Nishimura, Mutsutomo Tokizawa, Yoshiharu Y. Yamamoto, Yoshito Oka, Tomonao Matsushita, Kousuke Hanada, Kazumasa Shirai, Shoji Mano, Takayuki Shimizu, Tatsuru Masuda
【論文URL】https://doi.org/10.1093/plphys/kiae288
【論文DOI】10.1093/plphys/kiae288

◆本件に関するSDGs
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◆本件連絡先
島根大学生物資源科学部 准教授 西村 浩二(にしむら こうじ)
Email:knishimu(末尾に「@life.shimane-u.ac.jp」をつけてください)