クロス教育(令和6年度以降入学生対象)
1 大学で「学ぶ」「学修する」とは?
「学ぶ」とは、簡単に言えば、新しい知識を獲得したり、自己の行動を変化させたりすることです。授業で教員の講義を聴く、演習問題を解く、学生同士で議論する、実験?実習で体験するなど、さまざまな学び方がありますが、その結果として知識や行動に変化が生じます。目指す方向に向かって、適切に変化することを「成長」と呼びます。大学には、専門性に根ざした成長を促すことができるよう、学部や学科、コース等ごとに教育課程(カリキュラム)があります。
※大学での学びは「学習」ではなく、「学修」と表記します。
2 大学の教育課程の制度とは?
島根大学には複数の学部や学科があり、学問の体系ごとに高度な専門性を身につける教育課程があります。そして、あなたが所属する教育課程が定めた要件を満たし、「卒業認定?学位授与の方針(ディプロマポリシー)」に掲げた資質?能力を身につけると「学位」を取得できます。卒業要件は各課程ごとにさまざまですが、各授業科目ごとの「単位」を積み重ね、卒業するまでに128単位や132単位などを取得しなければなりません。「単位」とは学修時間のことで、授業時間中の学修、授業時間外の予復習を含め、1単位=45時間に相当する学修を必要とします。また、教育課程ごとに、所属するすべての学生が必ず履修しなければならない必修科目(必修単位数)と、学生自身の選択に委ねられる選択科目(選択単位数)や自由選択(自由単位)の別があります。
全学基礎教育(必修/選択科目あり) 現代社会が求める基礎的な資質?能力の成長を促す(島大STEAM科目群/ユニバーサル科目群/地域創生科目群/教養育成科目群、全学生共通で学ぶ) |
専門教育(必修/選択科目あり) 社会で活躍できる高度な専門性の獲得と成長を促す(専門基礎や応用?発展などを、所属する学部?学科ごとに異なる専門教育のカリキュラムで学ぶ) |
自由選択?自由単位(全学基礎教育、専門教育から自由に選ぶ) |
3 島根大学の教育課程の特徴とは?
島根大学の教育課程は、学部や学科にかかわらず、すべての学生が学ぶ「全学基礎教育」と、学部?学科ごとの「専門教育」に大きく分かれます。詳細は「履修の手引」などを参照してください。そして、この二つのカテゴリから精選された授業科目で構成される教育が「クロス教育」です。
4 「クロス教育」とは?
現代は、「予測困難な時代」「VUCAの時代」などと呼ばれ、気候変動や国際情勢の変化、情報通信技術の進歩、少子化?高齢化など、これまで経験したことのない変化と問題に直面しています。また、島根大学が位置する山陰地方?島根県では、かねてから過疎化が進行しており、今後の地域社会をどのように持続可能なものとしていくのか、大きな課題を抱えています。これまでの知識や経験に頼っているだけでは先が見通せない時代がやってきているのです。大学での「学び」も変化しなければなりません。既存の知識や経験だけでは解決できない問題に対して、同じアプローチをし続けても意味がありません。創造的な解を導き出すためには、特定の専門領域にとどまらず、複数の領域を越境(クロス)して学びながら、知識や行動を身につけなければなりません。そうすることで、異分野?異領域の知識を組み合わせた新しいアイデアが生まれたり、異なる考え方や技術を融合させた取り組みを構想できるようになります。島根大学では、全員が同じカリキュラムで同じ授業科目を学ぶのではなく、自分の興味関心、自分の目標や取り組みたいことに応じて、柔軟に学ぶ内容を変化できるように教育課程を変化させました。また、身につけたい資質?能力に応じて、精選された複数の授業科目を組み合わせた教育プログラムを多数設計しました。所属する学部や学科の高度な専門性の獲得を目指すカリキュラムで学びながら、同時に他のテーマや分野にも挑戦できるようになっています。
5 「クロス教育」はどうやって履修したらいい?
あなたが所属する学部?学科の「履修の手引」などで選択科目や自由科目の単位数を確認してください。教育課程ごとに単位数は異なりますが、大学での学びは、かなりあなた自身の選択(選択科目)に委ねられています。つまり、自分で授業科目を選んで学ぶ学修時間(=単位)が多くあります。これを有効に使えるのがクロス教育の特徴です。クロス教育の各プログラム修了に必要な単位数は10単位(※およそ5つの授業科目の履修が必要)です。選択科目や自由選択?自由科目の単位数を、クロス教育のプログラム履修にあて、卒業要件を満たしながら、クロス教育も修了することができます。
あなたは、すでに自分独自のものの見方や考え方を持っていると思います。それを大切にした上で、さらに自己の成長の可能性を拡げてみませんか。クロス教育では、これまで触れてこなかったような多様なテーマやフィールド、学問分野での学修を通じて、新たな発見をしたり、物事を多角的にとらえることができるようになったり、スキルを身につけたりすることで、さらに自己の成長を促すことができます。また、「イノベーション」は複数の要素を組み合わせることで起こります。クロス教育を通じて獲得した知識や方法を組み合わせ、将来、社会課題への解決に挑戦することができるような資質を身につけることができます。
a テーマ別プログラム(10単位)
※所属する学部?学科に関係なく、すべての学生が履修できます。
特定の学問分野にかかわらず、現代社会の諸課題に関連したテーマを深く学ぶ教育プログラムです。各教育プログラムでは、テーマに関する知識や視野の獲得、実践性の向上を図り、自身の専門性を活かす方法を身につけることができます。
プログラムの名称 | プログラムの概要 | |
1 | 英語実践力養成プログラム | グローバル社会で活躍するために必要な自信、英語スキル、国際人としての資質、異文化理解を養う。参考:外国語に関するクロス教育プログラム |
2 | グローバル?コミュニケーション プログラム | グローバル?コミュニケーションスキルの向上と、自己をより良く認識し、異なる文化的背景を持つ他者を十分理解できるグローバル?マインドセットを養う。参考:外国語に関するクロス教育プログラム |
3 | ヨーロッパ言語文化実践力 養成プログラム | 実践的なドイツ語?フランス語コミュニケーション能力を養成するとともに、それぞれの文化や社会について深い理解と知識を備えた人材を育成する。参考:外国語に関するクロス教育プログラム |
4 | 中国語実践力養成プログラム | 実践的な中国語コミュニケーション能力を養成するとともに、それぞれの文化や社会について深い理解と知識を備えた人材を育成する。参考:外国語に関するクロス教育プログラム |
5 | 韓国?朝鮮語実践力養成 プログラム | 実践的な韓国?朝鮮語コミュニケーション能力を養成するとともに、それぞれの文化や社会について深い理解と知識を備えた人材を育成する。参考:外国語に関するクロス教育プログラム |
6 | ジオパーク学プログラム | 多様で個性豊かな地域遺産について基礎的な知識を理解し、さらにジオパークを生かして地域活性化を模索?支援することができる学際的な人材を育成する。 |
7 | ものづくり産業人材育成 プログラム | 実社会の場、特に島根県の主要産業の一つである金属関連分野などのものづくり産業で活躍することができる起業家精神を持ったものづくり人材を育成する。 |
8 | 観光教育プログラム | 観光を多様な視点から理解し、体験学習を通じて実践知を獲得。また、自身の専門と観光の関わりを展望し、観光の取り組みへの意欲を高める。 |
9 | フィールド教育プログラム ~森林から耕地、海へ~ |
自然との共生、水や物質の流れ、自然環境とその変化、農林水産業や工業などについての理解を促す。地域を流域レベルで考え、総合的に理解する。 |
10 | キャリアデザインプログラム ベーシックコース | 主体的に自らのキャリアをデザインし、実現させていくことが出来る人材を育成。自らの生き方や在り方を選択し、幸せな人生を実現させていく力を養う。 |
11 | 数理?データサイエンス実践 プログラム | データの分析力、データエンジニアリング力、問題解決力の3つの要素を身に付け、専門分野で実践的なスキルを持つ人材を育成する。 |
b 他学部学問基礎プログラム(10単位)
※自分が所属する学部以外の基礎プログラムを履修することができます。
所属する学部とは異なる他学部の学問分野の基礎的な知識の習得や、各学問分野と社会とのかかわり、当該分野固有のものの見方?考え方等を学修します。所属する教育課程での学びと対比しながら、両者の視点を獲得することができます。
プログラムの名称 | プログラムの概要 | |
1 | 法文学部学問 基礎プログラム | 文科系総合学部の学問基礎プログラム。現代社会や地域社会が抱えるさまざまな問題を解決することのできる基礎的専門知識を身につけ、創造的?実践的能力を有する人材を広く育成する。 |
2 | 人間科学部 基礎プログラム | 人間を多角的にとらえる視点を獲得し、人間のかかえる様々な問題に主体的に関与するための方法や、人間がかかえる諸問題を的確に分析する方法などについて基本的な理解を得る。 |
3 | 総合理工学 基礎プログラム | 数学、物理学、化学、地学、プログラミングなど基礎的な事項の重要性について学ぶ。基礎的な事項の理解を構築することで、総合理工学の専門的な内容を探求するための門戸を開く。 |
4 | 材料エネルギー 基礎プログラム | 全世界で対応が急がれるエネルギー問題を素材?材料の視点から理解し、その知識を自分の専門分野でも生かせる人材を育成する。 |
5 | 生物資源科学 基礎プログラム | 持続可能な社会を目指した生態環境保全、農林産業発展や安定的な食料供給への貢献を目指す人材を育成。生物資源科学分野を俯瞰的に学びながらSDGsにかかる視野を広げる。 |
c 同学部異領域専門プログラム(10単位)
※自分が所属する学部の異領域専門プログラムを履修することができます。
所属する学部において、他学科?他コース?他領域の専門性の高い授業科目からなる教育プログラムを履修することができます。自分が主として学ぶ分野に加えて、複数の専門の方法や視点を活かした研究を遂行できるようになります。
プログラムの名称 | プログラムの概要 | ||
1 | 言葉と文化を探求する | 言語文化学科各教員が担当する多様な講義を通して、広く伟德体育_伟德体育app-在线|平台@?アジア?欧米諸国の言葉と文化を学び、多文化理解の基礎を身につける。 | 法文学部 |
2 | 社会と文化の歴史と現在 | 社会と文化に対する学問的で多角的なまなざしを修得し、グローバルかつローカルな社会問題に取り組み、その解決の糸口に向けての考え方を身につける。 | |
3 | 金融リテラシーの基礎を身につける | 法学分野教員?経済学分野教員?実務家教員が担当する多様な講義を通じて、理論と実務の双方の観点から、金融リテラシーの基礎を身につける。 | |
4 | 地域の自然?文化環境と文化資源の活用を学ぶ | 自然?文化環境に対する学問的で多角的なまなざしと、地域の文化資源を活用する上での課題と方法を学ぶ。 | |
5 | 心理学コース専門プログラム | 人間の心の特徴やアプローチ方法に関する多面的な学びをとおして、人間を共感的?客観的に理解する能力と、地域に生きる人を支える問題解決能力の基礎を身につける。 | 人間科学部 |
6 | 福祉社会コース専門プログラム | 社会福祉学の理論や援助方法論を理解するとともに、福祉を多様な視点から相対化する姿勢を涵養し、福祉の現場で求められる対人支援の基礎を身につける。 | |
7 | 身体活動?健康科学コース専門プログラム | 健康長寿社会の実現に向けて幅広く健康を理解し、健康増進を実践できる素養を身につける。身体活動を多面的?科学的に学ぶほか、ライフスタイルと健康との関連を学ぶ。 | |
8 | 物理工学専門プログラム(物理) | 物理工学プログラムを学ぶために必要となる専門的な事項を学修する。重要なトピックについて学生の興味に従って網羅的に学び、専門的な事項の重要性について学ぶ。 | 総合理工学部 |
9 | 物質化学専門プログラム(化学) |
物質化学プログラムを学ぶために必要となる専門的な事項を学修する。重要なトピックについて学生の興味に従って網羅的に学び、専門的な事項の重要性について学ぶ。 |
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10 | 地球資源環境?防災科学専門プログラム | 地球資源環境?防災科学プログラムを学ぶために必要となる専門的な事項を学修。重要なトピックについて学生の興味に従って網羅的に学び、専門的な事項の重要性について学ぶ。 | |
11 | 数理?データサイエンス専門プログラム(数理) | 数理?データサイエンスプログラムを学ぶために必要となる専門的な事項を学修。重要なトピックについて学生の興味に従って網羅的に学び、専門的な事項の重要性について学ぶ。 | |
12 | AI?コンピュータ科学専門プログラム(情報) | AI?コンピュータ科学プログラムを学ぶために必要となる専門的な事項を学修。重要なトピックについて学生の興味に従って網羅的に学び、専門的な事項の重要性について学ぶ。 | |
13 | 機械電気電子専門プログラムを学ぶための基礎となる専門科目を学修する。 当該プログラムの基礎的かつ重要な内容について学生の興味に従って学び,また,課題に取り組むことで,専門的な事項の理解を深める。 |
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14 | 建築デザイン専門プログラム(建築) | 建築デザイン専門プログラム(建築)を学ぶために必要となる専門的な事項を学修。重要なトピックについて学生の興味に従って網羅的に学び、専門的な事項の重要性について学ぶ。 | |
15 | 材料工学のための情報科学専門プログラム | 現代社会が求める情報科学の理解へニーズに対応し、材料工学に関する知識?技情報術を有し、情報科学やその関連分野を理解する人材を育成する。 | 材料エネルギー学部 |
16 | 材料工学のための化学専門プログラム | セラミックス、繊維や生体材料への社会的ニーズに対応し、材料工学に関する知識?技術に加え、化学素材?材料やその関連分野を理解する人材を育成する。 | |
17 | 生命科学専門プログラム | 様々な生命現象について、幅広い知識をもとに理解し、ライフサイエンスやバイオテクノロジーに関する専門技術の基礎を学ぶ。 | 生物資源科学部 |
18 | 農林生産学専門プログラム | 作物生産学、動物生産学、園芸学、農業経済学、森林学に関する幅広い知識と専門技術の基礎を学ぶ。農林水産業が抱える課題を理解し、解決に取り組むことができる人材を育成する。 | |
19 | 環境共生科学専門プログラム | 環境と調和した持続可能な社会の実現に必要な、環境と生物、資源循環、環境保全型農業や農業土木についての専門知識を身に着けた人材を育成する。 |
d アドバンストプログラム(20単位)
※ ?~?のうち2つのプログラム、または、1つのプログラム+10単位の自主
的選択科目を履修します。
クロス教育の複数のテーマや方法を組み合わせて学びを発展させ、自己の成長の幅を拡げることを目的としています。プログラムの修了には下の??の2つの方法があります。
?:?~?のうち2つのプログラムを履修
?:?~?のうち1つのプログラムと自ら学びを設計した10単位分の履修
?の場合、?~?のプログラムを1つ履修することに加えて、
自分の学びを自由に設計し、全学基礎教育や自学部?他学部の専門教育の授業科目(※必修科目を除く)を10単位分履修します。履修後には、クロス教育での学修目的?目標や、学修を通じて身につけた力を説明する「アドバンストプログラムの学びシート」を提出して修了判定を受けます。
e トランスボーダープログラム(30単位)
※ ?に加えて、トランスボーダープログラムの専用教育プログラム(10単位)を履修します。
?トランスボーダープログラムでは、?アドバンストプログラム(20単位)に加えて、地域課題探究力、コーディネーション力、グローバル展開力などトランスボーダーな探究力を身に付けるプロジェクト型の専用教育プログラム(10単位)を履修します。合計すると30単位(1,350時間)に相当する学修をおこなう挑戦的なプログラムです。その分、自己を大きく成長させることができます。専用教育プログラムでは、プロジェクトの企画から試行、実践までをプロセスとして学修します。?~?のプログラムや所属する学部?学科での学びによって革新的な問題解決の方法の着想を得た上で、プロジェクトとして実践する過程を通じて磨きあげることを狙いとしています。意欲的?挑戦的な学びのスタイルですが、大学教職員のほか、地域の企業?団体等の関係者が協働して受講学生を伴走支援します。
※上記の説明項目名、プログラム名をクリックすると詳細が表示されます。各プログラムの詳細には、要件科目の一覧等が掲載されています。
参考
お問い合わせ先
- 法文学部(学生センター1階1番窓口) E-mail sad-gakumu01@office.shimane-u.ac.jp
- 教育学部(学生センター1階2番窓口) E-mail sad-gakumu02@office.shimane-u.ac.jp
- 人間科学部(学生センター1階3番窓口) E-mail sad-gakumu021@office.shimane-u.ac.jp
- 総合理工学部(学生センター1階4番窓口) E-mail sad-gakumu03@office.shimane-u.ac.jp
- 材料エネルギー学部(学生センター1階9番窓口) E-mail gad-mfe@office.shimane-u.ac.jp
- 生物資源科学部(学生センター1階5番窓口) E-mail sad-gakumu04@office.shimane-u.ac.jp
- 教育企画課(学生センター1階6番窓口) E-mail epd-kkikaku@office.shimane-u.ac.jp